資金管理というと難しく聞こえますが、最初に決めることは 1 つだけです。1 回の取引で、資金の何 % まで失ってよいか。

筆者は、手法探しに夢中で検証をおろそかにし、6 年間負け続けました。当時は、検証とは何か、何を検証すればいいのかも分かっていませんでした。手法の良し悪しを確かめられないうちは、せめて「負けたときにどれだけ減るか」を数字で決めておく。資金管理は、そのための道具です。

この記事では、決めた % によって資金の減り方がどれだけ変わるかを、計算で示します。

損失は「資金の何 %」で決める

1 回の損失を「1 万円まで」のように金額で決めるより、「資金の 1% まで」のように割合で決める方法がよく使われます。割合で決めると、資金が減れば 1 回の損失も自動的に小さくなり、資金がゼロになりにくくなります。

1 回の損失 10 連敗したあとの資金 20 連敗したあとの資金
1% 90.4% 81.8%
2% 81.7% 66.8%
5% 59.9% 35.8%
10% 34.9% 12.2%
1 回 1% の場合
1. 1 回負けると、資金は 99% になる
2. 10 回続けて負けると、0.99 を 10 回かけて 90.4%
3. 20 回続けて負けると、0.99 を 20 回かけて 81.8%

1 回 1% なら、20 連敗しても資金の 8 割が残ります。1 回 10% だと、10 連敗で 3 分の 1 になります。

連敗は、思っているより起きる

「20 連敗なんてしない」と思うかもしれません。では、連敗はどれくらいの確率で起きるのでしょうか。100 回取引したときに、少なくとも 1 回、その回数以上の連敗が起きる確率を計算しました(1 回ごとの勝ち負けが独立している場合)。

連敗の回数 勝率 50% 勝率 40% 勝率 35%
5 連敗以上 81.0% 97.6% 99.5%
6 連敗以上 54.6% 87.3% 95.7%
7 連敗以上 31.8% 68.9% 85.0%
8 連敗以上 17.0% 49.0% 69.0%
10 連敗以上 4.4% 20.5% 36.8%
12 連敗以上 1.1% 7.7% 16.9%

勝率 50% の手法でも、100 回のうちに 5 連敗以上が起きる確率は 81% です。リスクリワード 1:2 のように利確を遠くした手法は勝率が下がりやすく(リスクリワードと勝率の関係)、勝率 35% なら 8 連敗以上が起きる確率は 69% あります。

連敗は、手法が悪くなくても起きます。 1 回の損失を大きくしていると、ふつうに起きる連敗で資金の大半を失います。

減った資金を取り戻すのは難しい

資金が減ったあと、元に戻すには、減った割合より大きな利益が必要です。

資金の減り 元に戻すのに必要な利益
−10% +11.1%
−20% +25.0%
−30% +42.9%
−50% +100.0%
−70% +233.3%
資金が 50% 減った場合
1. 100 万円 → 50 万円
2. 50 万円を 100 万円に戻すには、50 万円の利益が必要
3. 50 万円 ÷ 50 万円 = +100%

資金が半分になると、2 倍にしないと元に戻りません。大きく減らさないことが、取り戻すことよりずっと簡単です。

ナンピンとマーチンゲールは、資金管理の逆

含み損が出たときに買い増すナンピンや、負けるたびに取引量を増やすマーチンゲールは、「1 回の損失を小さく決める」資金管理と反対の考え方です。勝つ回数は増えますが、相場が一方向に動き続けると、損失が一気に大きくなります。

筆者はドル円の 2010〜2026 年の 5 分足で、ナンピンとマーチンゲールを 36 通りの条件で検証しました(方向はランダムに決めて 30 通りずつ。国内業者と同じレバレッジ 25 倍・ロスカットの条件)。36 通りのすべてで、最終損益の中央値も平均もマイナスでした。詳しい結果はナンピン・マーチンゲールの検証にまとめました。

何 % にすればよいか

よく使われるのは、1 回の損失を資金の 1〜2% にする方法です。ただし、何 % が正解かは決まっていません。目安として、次の順番で考えます。

  1. 耐えられる連敗の回数を決める:上の表から、自分の手法の勝率で起きそうな連敗の回数を見る。
  2. そのときに残したい資金を決める:たとえば「10 連敗しても資金の 8 割は残したい」。
  3. % を逆算する:10 連敗で 8 割を残すなら、1 回 2% で 81.7%。1 回 2% までになります。

決めた % は、ロット計算機に入れれば、損切り幅に合わせた取引量に直せます。

資金管理でできないこと

資金管理は、負けたときの減り方をゆるやかにするだけです。期待値がマイナスの手法を、プラスに変えることはできません。 どれだけ % を小さくしても、期待値がマイナスなら、ゆっくり減っていきます。

手法の期待値がプラスかどうかは、過去のデータで検証して確かめるしかありません。資金管理で時間を稼ぎながら、検証で手法を確かめる。この 2 つはセットです。

まとめ

  • 1 回の損失を資金の % で決める。よく使われるのは 1〜2%。
  • 連敗は思っているより起きる。勝率 50% でも、100 回のうち 5 連敗以上が起きる確率は 81%。
  • 資金が半分になると、元に戻すには +100% が必要。大きく減らさないことが大事。
  • 資金管理では期待値は変わらない。手法そのものは検証で確かめる。