ロットは「なんとなく 1 ロット」で決めるものではありません。損切りになったときにいくら失うかを先に決めて、そこから逆算します。

この記事では、その計算を実際の数字で書き出します。計算だけならロット計算機で自動で出せますが、仕組みを知っておくと、計算機の数字がおかしいときに気づけます。

先に結論:ロットは損失から逆算する

計算式は 1 本だけです。

取引量(通貨) = 許容する損失 ÷(損切り幅 × 1 通貨の 1 pips の価値)
  • 許容する損失:1 回の取引で失ってよい金額。「資金の 1%」のように、資金に対する割合で決めるのが一般的です。
  • 損切り幅:エントリーから損切りまでの距離(pips)。チャートの形や値動きの大きさから決めます。
  • 1 通貨の 1 pips の価値:ドル円なら 0.01 円です。

取引量を先に決めるのではなく、損失と損切り幅を決めたら、取引量は自動的に決まる、という順番がポイントです。

ドル円で計算してみる

入力例:資金 100 万円、1 回の損失は資金の 1% まで、損切り幅 30 pips。

1. 許容する損失 = 1,000,000 円 × 1% = 10,000 円
2. 1 通貨の 1 pips の価値 = 0.01 円
3. 1 通貨あたりの損切り額 = 0.01 円 × 30 pips = 0.3 円
4. 取引量 = 10,000 円 ÷ 0.3 円 = 33,333 通貨
5. 1,000 通貨単位に切り捨て = 33,000 通貨(0.33 ロット)
6. 損切りした場合の損失 = 33,000 通貨 × 0.3 円 = 9,900 円

最後に切り捨てるのは、許容する損失を超えないようにするためです。切り上げると、損切りになったときに決めた金額を超えてしまいます。

ロットの大きさは業者によって違う

「0.33 ロット」は、1 ロット=10 万通貨の場合です。国内の業者には 1 ロット=1 万通貨のところもあり、その場合は同じ 33,000 通貨が 3.3 ロットになります。計算は通貨の数で行い、最後にロットに直すと間違えません。

損切り幅が変わると、取引量も変わる

同じ「資金 100 万円・損失 1%」でも、損切り幅によって取引量は大きく変わります。

損切り幅 取引量 損切りした場合の損失
15 pips 66,000 通貨 9,900 円
30 pips 33,000 通貨 9,900 円
60 pips 16,000 通貨 9,600 円

損切り幅を 2 倍にしたら、取引量は半分にする。こうすれば、どの取引でも負けたときの損失はほぼ同じになります。

逆に、取引量をいつも同じにしていると、損切り幅が広い取引ほど大きく負けます。「たまたま損切りの広い取引で連敗した」だけで、資金が大きく減ることになります。

今のドル円は値幅が大きい

損切り幅は、相場の値動きの大きさにも合わせる必要があります。2010 年からのドル円の 5 分足で 1 日の値幅(高値 − 安値)を集計すると、2019〜2021 年は中央値で 50 pips 台でしたが、2022 年以降は 110〜120 pips 台と、およそ 2 倍になっています(ドル円の値幅の統計)。

昔の本や記事にある「損切りは 20 pips」のような数字をそのまま使うと、今の相場ではすぐに損切りに当たりやすくなります。損切り幅を広げるなら、取引量を減らして損失の金額をそろえます。

ドル円以外の通貨ペアの場合

1 pips の価値は、通貨ペアの右側の通貨(決済通貨)で決まります。

  • 右側が円(ユーロ円、ポンド円など):1 通貨の 1 pips は 0.01 円。ドル円と同じ計算です。
  • 右側がドル(ユーロドルなど):1 通貨の 1 pips は 0.0001 ドル。口座が円なら、ドル円のレートで円に直します。

入力例:資金 100 万円、損失 1%、ユーロドルで損切り 20 pips、ドル円のレート 150 円(例の数字です。今のレートではありません)。

1. 許容する損失 = 1,000,000 円 × 1% = 10,000 円
2. 1 通貨の 1 pips の価値 = 0.0001 ドル × 150 = 0.015 円
3. 1 通貨あたりの損切り額 = 0.015 円 × 20 pips = 0.3 円
4. 取引量 = 10,000 円 ÷ 0.3 円 = 33,333 通貨
5. 1,000 通貨単位に切り捨て = 33,000 通貨

ドル円のレートが動くと、円に直した 1 pips の価値も変わります。ポジションを持っている間にドル円が大きく動けば、損切りしたときの損失も計算と少しずれます。

よくある間違い

レバレッジで損失の大きさを決めてしまう

「レバレッジ 25 倍は危ない、5 倍なら安全」という考え方がありますが、損切りしたときの損失を決めるのは、取引量と損切り幅です。レバレッジ(必要証拠金)は「その取引量を持てるかどうか」の話で、損失の大きさを直接は決めません。損失を管理したいなら、損失から取引量を逆算します。

スプレッドと約定のずれを忘れる

計算した損失は「損切りの価格ちょうどで決済できた場合」です。実際には、スプレッドの分と、急な値動きで損切りの価格より不利な値段で約定する分(スリッページ)だけ、損失は大きくなります。経済指標の発表直後や週明けの窓開けでは、このずれが大きくなることがあります。

最小単位で取引できないのに入ってしまう

資金が少なく損切り幅が広いと、計算した取引量が 1,000 通貨に届かないことがあります。この場合、最小単位で入るだけで決めた損失を超えます。損切り幅を見直すか、その取引は見送ります。

まとめ

  • ロットは、許容する損失 ÷(損切り幅 × 1 pips の価値)で逆算する。
  • 損切り幅を広げたら、取引量を減らして損失の金額をそろえる。
  • 1 ロットの通貨量は業者で違うので、計算は通貨の数で行う。
  • 計算した損失には、スプレッドと約定のずれは入っていない。

毎回の計算はロット計算機で自動で行えます。計算過程も表示されるので、この記事と見比べながら使ってください。